お遍路日記 1日目

(5月19日)


前日は飛行機で松山に着き、道後温泉に一泊した。

7:20 ホテルまで伊予鉄道のバスが迎えに来ている。

8:30 伊予鉄本社に着き、他の参加者と合流。39名の参加者と乗務員2人。
さていよいよ「阿波一国まいりバスツアー」のはじまりはじまり〜。

添乗員の玉井さんは本当は運転手さんなのだそうだが、巡拝ツアーではガイドをやる。その理由は、巡拝バスのガイドは重労働なので女性では勤まらないということだった。

どういうことかというと、本来は各人が納経帳を持ち、寺でお参りを終えた後、個々にご朱印をうけるのだが、巡拝バスでは、時間を節約するため、全行程の間、全員の納経帳は添乗員がまとめて持っていて、我々がお参りをしている間に納経を済ませておいてくれる。これがたいそうな重さなのである。確かに大変そうだった。

各人の自己紹介等の後、巡礼のきまりごとの説明。

お遍路のルール

  • 橋の上でつえをついてはいけない。(弘法大師が橋の下で休まれた伝説から)」
  • トイレに行くときは輪袈裟、数珠をはずす。
  • 入鐘ついても、出鐘はつくな。
    (鐘をつくのは寺に入ったとき(お参りをする前)にする。お参りをした後についてはいけない。ついてしまったらもう一度お参りしなおす。)
  • 寺に入るとき仁王門をくぐるが、この時右側にある「あ」(口をあいてる方)に軽く会釈をしてから入る。出るときは左の「うん」(口をつぐんでいる方)に。
  • お遍路さん同士、すれちがったら「ようおまいりで」などと声をかけあう。

それから「先達」(せんだつ)を決める。先達というのは、巡礼チームのリーダー的存在のことで、何回も巡礼をしたことのある人が選ばれる。お参りするとき、皆を先導し、お経もこの人のあとについて読む。寺の縁起や遍路のルールなど、先輩として知っていることは何でも教えてくれる。

すでに14回、四国をまわった速水さんという女性が今回の「お先達さん」に決まった。サブリーダー的役割を果たしていた大本さんという男性と2人で、私たちをリードしてくれた。2人とも、「リーダー」としての役割は充分果たしながら、高飛車だったり、押し付けがましかったりするようなところはなく、いつもニコニコして、さりげなくいろんな話をしてくれたりして、とても素敵な方々だった。「何回もお四国をまわると、こんな素敵な顔になれるのかしらん」と思うような、いいお顔をしていた。


このツアーでは、バスで効率よくまわるために(と私が勝手に想像しただけだけど)一番から順番になっていない。

今日は
 第11番 藤井寺(ふじいでら)
 第10番 切幡寺(きりはたじ)
 第9番  法輪寺(ほうりんじ)
 第8番  熊谷寺(くまだにじ)
 第7番  十楽寺(じゅうらくじ)
 第6番  安楽寺(あんらくじ)
の5ケ寺を周り、最後の安楽寺の宿坊で泊る。

伊予鉄バスの出発地点は、阿波(徳島)、土佐(高知)、伊予(愛媛)、讃岐(香川)いずれの一国参りの場合でも、伊予鉄本社のある松山(愛媛)なので、午前中は、松山から徳島への移動。ちなみに、それぞれの県ごとに下記のような呼び方がある。

 阿波(徳島)23ケ寺 = 発心(ほっしん)の道場
 土佐(高知)16ケ寺 = 修行の道場
 伊予(愛媛)26ケ寺 = 菩提の道場
 讃岐(香川)23ケ寺 = 涅槃の道場

11:00 道の駅・貞光ゆうゆう館というところで、早めの昼食。ここはできたばかりだそう。すっごくぶあつい、かつおのお刺身などが出た。




第11番 藤井寺(ふじいでら)

御本尊 薬師如来
御真言 おん ころころ せんだり まとうぎ そわか


いよいよはじめてのお参り。こじんまりした静かなお寺で、いかにも「札所」っていう感じがして「ああ、本当にお遍路にきたんだなあ」と思う。ところが、参拝の手順というのが結構大変で、バスの中で説明は受けていたものの、いざとなると、おろおろしてしまい、なにがなんだかわからないうちに、はじめての参拝は終ってしまった。

お参りの手順
  1. 右の仁王さまにあいさつして山門をくぐる。
  2. 鐘があればついてもよい。
  3. 口と手を水で清める。
  4. 本堂で、次のことを行う。
    1. お灯明(ろうそく)をあげる
    2. 線香をあげる(このとき「もらい火」をすると、人の災難をもらうことになるので注意)
    3. 納札(日付と名前はあらかじめ記入)を、所定の箱に入れ、お賽銭をあげる。
    4. 全員が上記のことを終え、揃ったところで、お経をとなえる。
      お経は、
      • 般若心経。
      • その寺の本尊の「ご真言」を3回。 (たとえば藤井寺は本尊が薬師如来なので「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」)
      • 光明真言を3回。(「おんあぼきや べいろしやのう まか ぼだら まに はんどま じんばら はらばり たや うん」)
      • 高祖寶号を3回。(「南無大師遍照金剛」)
  5. 大師堂でDと同じ事をする。

ろうそくや線香に火をつけるなんて簡単に思えるけど、実際やってみると、風があってなかなか火がつかなかったり、なにしろ人数が40人近くいるので、お灯明立の前で列になってしまったり、納札やお賽銭がさっと取り出せなかったり、モタモタしてしまうのだ。そのうえ、経本に書いてある順番にお経を読むわけではないので、ぼーっとしてるとどれを読んでいるのかわからなくなる。しかも寺毎に本尊が違うから、毎回違うところを見なくちゃならないので苦労した。

(写真は母と私
---#顔がよく見えないって?実はわざとです(^^;))



第10番 切幡寺(きりはたじ)

御本尊 千手観音
御真言 おん ばさらだらま きりく そわか

バスを降りてから寺まで少し離れている上、今日一番の「難所」333段の階段があるということだったが、どうということはなかった。でも、足の悪い人や老人にはきついのかもしれない。

マッチしか持っていなくて、火をつけるのに苦労したので、100円ライターを買った。来年は「チャッカマン」を持ってこようと話す。(本当になかなかつかなくて苦労するのだ)




第9番 法輪寺(ほうりんじ)

御本尊 釈迦如来
御真言 なうまく さんまんだ ぼだなんばく

3つめの寺ということで、お参りにも慣れてきて、少し余裕がでてきたが、まだ周りの景色もろくろく目に入らない状態。



第8番 熊谷寺(くまだにじ)

御本尊 千手観音
御真言 おん ばざらたらま きりく そわか

あくまで「お参り」が目的であり、観光ではないのだから、お参りが済むまでは写真は撮らないようにと言われるまでもなく、とにかく最初は皆に遅れないようというのが精いっぱいで写真どころではなかった。

しかし、このあたりから、多少ペースがつかめてきたので、証拠写真(「何番何々寺」というのが解るもの前で、皆で写す記念写真)の他に、あたりの風景や、目に留まったものを写す余裕がでてきた。




第7番 十楽寺(じゅうらくじ)

御本尊 阿弥陀如来
御真言 おん ありみた ていせいから うん

赤い門や新しい立派な本堂があるきれいなお寺。

(写真は母と義母と私)


第6番 安楽寺(あんらくじ)

御本尊 薬師如来
御真言 おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

本日最後の寺、そして宿泊所。
「宿坊」なんていうと、汚くて不自由で、大広間に雑魚寝させられて、食事も質素で、、、そんな連想をしてしまうが、この安楽寺も、今回のツアー中泊ったどの宿坊も、へたな旅館よりはずっと、きれいで感じが良かったし食事も美味しかった。

宿坊に泊ったら、朝の「おつとめ」がつきものであるが、宿泊者全体が本堂に入れないので(私たちの他の団体もいるので)、夜におつとめがあった。5:00に宿坊に入ってすぐ入浴し、6:00に夕食、7:00に本堂に集まり、読経と住職のお話があった。 安楽寺の風呂は温泉で、山号も「温泉山」なのだ。

こうして無事一日目が終った。



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